まず初めにBancorにおけるCRRとは「Constant Reserve Ratio(一定準備率)」と呼ばれるものです。これについては先日の投稿(スマートトークン101)をご参照ください。
一部のトークンは、外部資産(THETHERなど)の価値に固定されるように設計されており、一部の実装では、これらのトークンは、価格オラクルと組み合わせて100%より大きい準備金を使用します。これは、このようなモデル(「Stablecoins」とも呼ばれる)により導かれるカウンターパーティリスクの緩和策として設計されています。
100%超の準備金を持つことの理由は、例えばUSドルのような固定された資産の価値が、例えばETHのような裏付資産に対して上昇する可能性があり(その場合準備率は減少しますが)、100%以上である限りはペグされたトークンは完全に裏付されたままです。
これらのタイプのトークンは、とても異なる目的を提供します(取引相手のリスクを最小限に抑えつつブロックチェーン上の外部資産を象ります)。
(参考)
https://bitshares.org/technology/decentralized-asset-exchange/
https://bitshares.org/technology/price-stable-cryptocurrencies/
Bancorの場合、準備トークンは、スマートトークンの価値を裏付けるものではなく、流動性と価格発見性を提供するメカニズムとして機能します。
したがって、スマートトークンの準備金は0%から100%の間まで設定出来るのです。
これによりトークンの作成者は、1日目から、つまりスマートトークンが取引量を重ねる機会を得る前に、継続的な流動性と自動的な価格発見の恩恵を受けつつ新しい価値を創造することが可能となり、そのため、流動性への障壁を大幅に低下させ、ユーザーにより作成された通貨のロングテール効果をもたらすのです。
(ご参考: 一般的にOracleとは外部データとの接続を伴うような場合の文脈出て来るものであり、「ペグ」は「ある暗号通貨は円にペグされている」のように固定されるような場合に使用されます。)
追記: 「ロングテール」についてはこちらをご参照ください。
追記2: 1つのスマートトークンはCRRが100%以下である限り、複数の準備金用トークンを保有可能です。
追記3: せっかくなのでCRRについても記述します。最もシンプルなBNTの価格計算シミュレーションについてはこちらです。
CRR(Constant Reserve Ratio: 一定準備率)とは、各スマートトークンの準備のためにスマートトークントークンの作成者によって設定されるパラメーターです。
CRRは、準備金残高とスマートトークンの計算された時価総額との比率を決定するために、スマートトークンが非同期価格発見メカニズムとして使用する重要なパラメーターです。
例えば、100 ETHの準備金に対して10%のCRRを設定すると、1,000 ETHの時価総額(このスマートトークンは、この時価総額を供給したスマートトークンの数で割った値として、最初は作成者が設定し、そしてその後は市場での売買によって動的に決まります。
スマートトークンが購入あるいは清算される度に、準備金残高が増減するため、スマートトークンの合計供給量も増減します。その結果、CRRが100%より小さいスマートトークンの場合、スマートトークンの購入により価格が上昇し、生産によって低下することになります。
このメカニズムは、購入量と清算量との間の平衡点に向かって常に価格を再調整します。価格の変化も取引の規模に比例するため、大きい購入額または清算額は小額の場合に比べて価格への影響度もより一層増えます。
これらの仕組みや数式については、ホワイトペーパーで詳しく読むことが出来ます。